履物裏に貼り付けたBLEビーコンによる歩数推定手法

研究概要図

概要

医療技術の発達による寿命の延伸と,これに伴う高齢化によって,介護業界の人手不足が社会問題となっている.高齢者介護施設では日常生活の介助の他に,健康維持を目的とした活動量の把握・管理が求められる.この作業の負担軽減を目指す試みとして,加速度センサやスマートフォン,カメラを用いた活動量推定が提案されているが,導入コストの問題により広く普及するには至っていない.そこで本研究では,低コストで導入・運用が行える活動量推定を目指し,BLEビーコンをセンサとして使用する歩数の推定手法を提案する.BLEビーコンから発信される電波は,受信機との距離や遮蔽状態の違いによって変化しやすい.この特徴に着目し,履物裏にBLEビーコンを貼り付け,歩行動作によって変化する受信電波強度から歩数を推定した.ただしこの際,貼り付ける履物の素材や歩行速度,受信機の設置位置が,受信電波強度に影響を与える可能性がある.本稿ではこれらの影響についても調査を行い,提案手法の有効性を確かめた.評価実験では,任意の速さで100歩分歩いてもらい,実際の歩数と推定歩数を比較して評価を行った.その結果,91.6%の精度で推定が行えると判明した.

収録
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2022
大鐘 勇輝
大鐘 勇輝
IT Engineer

私の研究テーマは、IoT、ユビキタスコンピューティング、センサ信号処理です。