車輪に取り付けたBLEビーコンによる車椅子移動認識手法

研究概要図

概要

医療技術の発達により人の寿命は年々伸び,WHO(世界保健機関)はこれからは単に寿命を延ばすのではなく,健康寿命を延ばしていくのが大切だと提唱している. 健康寿命を延ばす重要な要素の1つとして運動があり,それを知る指標として歩数を確認する方法が挙げられる. しかしながら,歩数は自立して歩ける人のみに適用できる指標であり,車椅子使用者ではこの指標を用いた運動量の推定は行えない. これまで車椅子における移動認識の先行研究として,GPSを用いた手法や加速度,角速度,地磁気を用いた手法など様々な手法が提案されてきた. しかし,これらの手法は高精度な位置推定に焦点を当てているため導入コストが高く,一般の人では運用が難しい. そこで本研究ではBLEビーコンを用いて,低コストで導入・運用が行える移動認識手法を提案する. 本手法は車椅子にBLEビーコンを取り付け,状態によって変化するBLEビーコンの電波強度をもとに移動認識を行う. この時,取得したデータには様々なノイズが載っているため,複数のデジタルフィルタを適用しノイズの軽減を試みる. そして,ノイズを軽減したデータから車輪の回転数や回転方向を推定し,移動を推定していく. 上記の手法を用いてテスト環境で車椅子の移動認識精度を確かめた. その結果,車輪の回転数推定は100%,前進・後進推定は100%・98.5%の精度で推定できた. また移動経路推定は,長方形の周りを1周する移動,スラロームの動き,円の周りを1周する移動の3種類で実位置との誤差を比較し評価を行なった. その結果,それぞれの移動における平均推定誤差は13.95m,6.75m,6.51mであった.

収録
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム
大鐘 勇輝
大鐘 勇輝
Graduate Student

私の研究テーマは、IoT、ユビキタスコンピューティング、センサ信号処理です。